スワップポイントの自動受取と手動受取はどちらが有利?税金の違いを計算しました
のんびり投資家 ·
結論:違いは税金を払うタイミングだけです
FX会社によって、たまったスワップポイントの扱いが2つに分かれます。自動で口座残高に振り替わる会社と、自分で操作したときだけ振り替わる会社です。
調べてみたところ、この2つの違いは「税金をいつ払うか」だけでした。証拠金の増え方は同じです。
そして、どちらが有利かはあなたがスワップポイントをどう使うかで決まります。
| あなたのスタイル | 向いているタイプ |
|---|---|
| 毎年使い切る(生活費・お小遣いに回す) | 差はほぼありません。好きなほうでかまいません |
| 受け取らずに貯め続ける(再投資する) | 手動受取が有利です |
貯め続ける場合、自動受取の会社が同じスピードで増やすには、スワップポイントが約25%高い必要があります。この「25%」がどこから出てくるのかを、以下で順に説明します。
そして、両方やっている人は、口座を分けるという手もあります。 私自身がそうすることにしました(→ 6. 私はどうしているか)。
なぜこれを調べたか。
10社のスワップポイントを毎日集計しはじめたところ、自動受取のGMO系2社が上位に来ていることが分かりました。ただ、私は経験上「自動受取のほうが税金を多く払う」という感覚を持っていたので、それが本当なのか確かめたくなった、というのがきっかけです。
結果を先に言うと、その感覚は条件つきで当たっていました。 ただし理由は、私が思っていたものとは少し違いました。
1. なぜ差が出るのか
証拠金の増え方は、実は同じです
「自動で受け取ったほうが、そのぶん早く証拠金が増えるのでは」と考えたくなります。これは違いました。
手動受取の会社でも、受け取る操作をしていない段階で、すでに純資産に含まれているからです。みんなのFXの公式サイトにこう書かれています。
付与されたスワップポイントは、ポジション決済や「スワップ受取」を行わなくても、既にお客様の「純資産」に含まれております。そのため、スワップポイントの受取りの操作前と操作後で、証拠金維持率は変動いたしません。
つまり、次の建玉を持てるようになるタイミングは、どちらのタイプでも同じです。
違うのは税金のタイミングです
差が出るのはここだけでした。同じくみんなのFXの公式サイトから引用します。
個人口座において、ポジション決済前の評価損益や未決済ポジションに付与されている受取前のスワップポイントは課税対象ではありません。ポジション決済前にスワップポイントのみ受取った場合や、ポジションを決済した場合に申告分離課税の対象となります。
一方、自動受取の会社はこうです。GMOクリック証券の公式サイトの記載です。
FXネオ取引はスワップポイントの受払いが日々発生するため原則、受払いのあったスワップはすべて課税対象となります
手動受取なら、受け取るまで課税されません。自動受取なら、付与されたその年に課税されます。
FXの利益にかかる税率は20.315%です。自動受取の場合、この20.315%は翌年の納税のために取っておく必要があるので、再投資に回せるのは残りの79.685%だけになります。
⚠️ 未受取のスワップポイントをいつの利益として扱うかは、FX会社によって取り扱いが異なります。 ここに書いているのは私が調べた範囲の話であり、税務上の助言ではありません。確定申告の判断は、必ず税務署または税理士にご確認ください。
2. 貯め続ける場合、どのくらいの差になるか
元本100万円で、たまったぶんを再投資し続けたときの試算です。
試算の前提を先に書いておきます。
- スワップポイントは1万通貨あたり1日100円(1年で36,500円)
- 1万通貨を持つのに36万5,000円の純資産を使う(=純資産に対して1年で10%にあたる計算)
- たまったぶんは1,000通貨ずつ買い増していく
- 為替レートは動かないものとして、スワップポイントと税金の影響だけを取り出す
元本100万円なら、はじめに持てるのは2万7,000通貨ぶんです。
これは特定の通貨ペアの実測値ではなく、差の出かたを見るためのモデルです。 ここの水準を変えても、このあと出てくる「25%」という数字はほとんど動きません。
| 運用年数 | 手動受取 | 自動受取 | 差 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 1,507,299円 | 1,480,405円 | 26,894円 |
| 10年 | 2,343,760円 | 2,195,920円 | 147,840円 |
| 20年 | 5,996,082円 | 4,849,072円 | 1,147,010円 |
| 30年 | 15,922,961円 | 10,734,702円 | 5,188,258円 |
※年利は執筆時点のスワップポイント(または貸借料率)が1年間継続したと仮定した参考値です。将来の利回りを保証するものではなく、相場変動により元本を割り込む可能性があります。
10年では6.7%の差ですが、30年では1.48倍まで開きます。 税金を払うのを後ろにずらせるぶん、本来なら税務署に渡っていたお金が、それまでのあいだ働き続けてくれるためです。
税率が下がるわけではありません。増えるスピードが違うだけです
ここは誤解しやすいところなので、はっきり書いておきます。
税率はどちらも20.315%で同じです。 そして為替でマイナスの年が出なければ、最終的に同じ利益を手にするなら、支払う税金の総額も同じになります。手動受取が「税金を安くする方法」ということではありません。
違うのは、毎年いくらを次の元手に回せるかです。
| 受け取ったスワップポイントのうち、再投資に回せる額 | |
|---|---|
| 手動受取 | 全額(受け取っていないので、まだ課税されない) |
| 自動受取 | 79.685%(20.315%は翌年の納税用に取っておく) |
同じ金額のスワップポイントがついても、手元で働き続けるお金の量が毎年ちがう。それが何十年も積み重なって、さきほどの表の差になります。同じゴールに、手動受取のほうが早く着くというだけの話です。
だから「約25%」という分岐点が出てきます
では、自動受取の会社が同じスピードで増やすには、スワップポイントがどれだけ高ければよいのか。79.685%しか再投資に回せないぶんを取り返す必要があるので、こうなります。
1 ÷ 0.79685 = 1.2549
約25%です。 運用年数を変えても、スワップポイントの水準を変えても、この数字はほとんど動きませんでした。
| 運用年数 | 必要な上乗せ率 |
|---|---|
| 10年 | 約22.6% |
| 20年 | 約24.0% |
| 30年 | 約24.5% |
これは「自動受取だと25%損をする」という意味ではありません。 スタートラインをそろえるために、スワップポイントの側で25%の差が要る、ということです。
3. 為替が下がった年に、もうひとつの差が出ます
ここからが、私が事前に持っていた感覚に一番近い部分です。
税金は「1年ごとの損益」にかかります。 そして、まだ決済していないポジションの為替のマイナスは、その年の損失として使えません。
3年間の例
分かりやすい例で説明します。1万通貨を持っていて、スワップポイントが年36,500円たまるとします。同時に為替も下がっていて、3年後にはスワップポイントの合計と為替のマイナスがちょうど釣り合うとします。つまり3年トータルの損益はゼロです。
| 1年目 | 2年目 | 3年目(決済) | 納税の合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 手動受取 | 0円 | 0円 | 3年分をまとめて計算し、損益ゼロなので0円 | 0円 |
| 自動受取 | 7,415円 | 7,415円 | 損失が出るので0円 | 14,830円 |
トータルではまったく儲かっていないのに、自動受取のほうだけ14,830円を払っています。
払った税金は戻ってきません
「3年目に損が出たなら、前の年の税金が戻るのでは」と思うかもしれません。戻りません。
国税庁の説明では、先物取引の損失は翌年以後3年間にわたり繰り越すことしかできません。前の年に遡って還付を受ける制度は用意されていないのです。
さらに、塩漬けにしている限り、繰り越せる損失そのものが発生しません。損失は決済して確定させないと使えないからです。
為替が下がるほど差が開きます
10年間、1万通貨を持ち続けた場合の納税額です。
| 為替の動き | 10年間の通算損益 | 手動受取の納税 | 自動受取の納税 |
|---|---|---|---|
| 上昇(年3%) | +664,918円 | 135,078円 | 135,078円 |
| 横ばい | +365,000円 | 74,150円 | 74,150円 |
| 下落(年3.65%) | +100円 | 20円 | 66,735円 |
| 下落(年8%) | −434,781円 | 0円 | 66,735円 |
為替が上がっている局面では、両者に差はありません。 差が出るのは、下がった年があったときだけです。
高いスワップポイントがつく通貨は、スワップポイントがたまるのと同時に為替も下がっていくことが珍しくありません。長く持つ人ほど、この場面に出会いやすいということになります。
4. 実際のスワップポイントに、25%の差はついているか
理屈のうえでの分岐点は25%でした。では現実はどうなのか。10社の公表値を毎日集めているデータで確かめました。
2026年7月20日から9月9日までの共通する35日分を、すべて1万通貨あたりに換算して集計しています。
高スワップ通貨3ペアの順位
トルコリラ/円
| 順位 | 会社 | タイプ | 1日あたり |
|---|---|---|---|
| 1 | GMOクリック証券 | 自動 | 36.43円 |
| 2 | セントラル短資FX | 手動 | 35.60円 |
| 3 | トライオートFX | 手動 | 35.12円 |
| 4 | GMO外貨 | 自動 | 34.87円 |
メキシコペソ/円
| 順位 | 会社 | タイプ | 1日あたり |
|---|---|---|---|
| 1 | トライオートFX | 手動 | 21.40円 |
| 2 | LIGHT FX(LIGHTペア) | 手動 | 20.79円 |
| 3 | GMO外貨 | 自動 | 20.77円 |
南アフリカランド/円
| 順位 | 会社 | タイプ | 1日あたり |
|---|---|---|---|
| 1 | セントラル短資FX | 手動 | 22.97円 |
| 2 | トライオートFX | 手動 | 22.61円 |
| 3 | GMO外貨 | 自動 | 20.90円 |
トルコリラ/円ではGMOクリック証券が1位でした。 私の「GMO系2社が上位に来ている」という感覚は、間違ってはいませんでした。
ただし、25%には届きませんでした
19の通貨ペアで「自動受取のトップ」と「手動受取のトップ」を比べたところ、25%の差がついていたペアは0件でした。
- 自動受取が最も健闘したペアでも、上回っていたのは約2%
- 19ペアの中央値は0.967倍で、自動受取のほうがやや低いという結果でした
相手を私が使っているLIGHT FXに絞ると、もう少し差は開きます。トルコリラ/円で約8%、最も開いたニュージーランドドル/円で約12%でした。それでも25%には届きません。
仮にトルコリラ/円の8%の差がずっと続いたとしても、20年で約52万円、30年で約303万円ほど手動受取が上回る計算になりました。25%という壁は、思っていたよりずっと高いということです。
5. それでも自動受取が向いている場面
ここまで手動受取に有利な話が続きましたが、自動受取を選ぶ理由がある人もいます。 むしろ、当てはまる人は少なくないと思います。
① スワップポイントを毎年使い切る人
これが一番大きいです。手動受取でも、毎年受け取ってしまえば毎年課税されます。 上で説明した差は、両方ともまるごと消えます。生活費やお小遣いに回すスタイルなら、この記事の話は気にしなくてかまいません。
② 数年で区切りをつけるつもりの人
5年で降りるつもりなら、必要な上乗せ率は2%台まで下がります。差が開くのは、あくまで長く持ち続けた場合です。
③ 退職が近い人
手動受取は、最後に決済したときに大きな金額の所得が一度に立ちます。 税率そのものは変わりませんが、FXの所得は国民健康保険料の計算のもとになる金額に含まれます。 会社の健康保険に入っているあいだは影響しませんが、退職して国民健康保険に移ったあとで一度に実現させると、保険料が跳ね上がる可能性があります。
④ 過去の損失を繰り越している人
繰り越せる期間は3年しかありません。自動受取なら毎年利益が立つので、期限が来る前に使い切れます。手動受取で貯め続けていると、吸収する相手がいないまま期限切れになります。
⑤ 納税資金を先に確保しておきたい人
手動受取は、何十年か先に大きな納税義務が一度に発生します。そのお金を口座から抜けば、そのぶん運用は縮みます。自動受取なら毎年払い終わっているので、この心配がありません。
⑥ 法人口座の人
法人口座では、受け取っていないスワップポイントも課税対象です。手動受取の利点が最初から存在しないので、この記事の比較は当てはまりません。
6. 私はどうしているか
私のスワップポイントの使い方は、実は2つに分かれています。
- 大部分は受け取らずに置いておき、再投資に回す
- 毎月、数万円ぶんだけ受け取って出金し、趣味などに使う
今回の検証で、この2つは別々に考えるべきだと分かりました。
貯めるほうは、やり方を変えません
再投資に回している大部分については、手動受取のまま続けます。 今回の検証は、その選び方に数字の裏付けを与えてくれた、という位置づけです。
ひとつ補足しておくと、私は毎年確定申告をしています。 上に出てきた「20万円以下なら申告不要」という話は、私には当てはまりません。
使うほうは、GMOクリック証券で試してみます
一方、毎月受け取って使っているぶんには、この記事で書いてきた差が一切ありません。 受け取った時点でその年の利益として確定するので、自動受取とまったく同じ扱いになるからです。
そうと分かった以上、この部分についてはスワップポイントの水準で選んでよいことになります。私が主に持っているトルコリラ/円で1位だったのはGMOクリック証券でしたので、使うぶんについては、そちらの口座で試してみることにしました。
同じ「スワップ投資」でも、貯めるお金と使うお金で、選ぶべき口座が違う。 今回いちばん実務的な収穫は、この点でした。
私の場合の話です。 どちらが合うかは使い方によって変わりますので、投資判断はご自身でお願いします。
なお、この結果はGMOの2社を否定するものではありません。 トルコリラ/円で1位を取っているのは事実ですし、上に挙げた6つの場面に当てはまる人にとっては、税金のタイミングの差はそもそも生まれません。自分がどう使うかで、見るべき項目が変わるだけです。
よくある質問
自動受取の会社は選ばないほうがいいですか
そうは思いません。差が出るのは「受け取らずに何十年も貯め続ける」場合に限られます。毎年使い切るのであれば、税金のタイミングは同じになるので、スワップポイントの水準や取引条件で選んでかまわないはずです。
スワップポイントを毎年使う場合も差は出ますか
出ません。手動受取でも、受け取った時点でその年の利益として確定します。毎年受け取るなら、自動受取とまったく同じ計算になります。
未受取のまま置いておくと、会社が破綻したときに保護されませんか
保護されます。LIGHT FXの信託保全の説明では、保全の対象は「お客様から預託を受けた証拠金、スワップまたは建玉管理料を含む未決済の約定評価損益・既決済の取引損益の合計」とされています。受け取っていないスワップポイントも対象に含まれます。
年間20万円以下なら税金はかからないのですか
かからなくなるわけではありません。給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる方は、所得税の確定申告が不要になる場合がありますが、これは住民税とは別の話です。また、判定の対象は「給与以外の所得の合計」なので、他に副業の収入があればそれも合算されます。医療費控除やふるさと納税で確定申告をする場合も、あわせて申告することになります。ご自身が当てはまるかどうかは、税務署または税理士にご確認ください。
最初の1回の取引に、まとまったお金は必要ですか
必要ありません。ここで挙げた各社は、多くの通貨ペアで1,000通貨から取引できます。ただし高いスワップポイントがつく通貨は例外があり、GMO外貨はトルコリラ/円・メキシコペソ/円・南アフリカランド/円が10,000通貨から、GMOクリック証券はメキシコペソ/円と南アフリカランド/円が10,000通貨からとなっています。みんなのFXとLIGHT FXは、この3つとも1,000通貨から取引できます。最新の条件は必ず各社の公式サイトでご確認ください。
まとめ
- 自動受取と手動受取の違いは、税金を払うタイミングだけ。証拠金の増え方は同じ
- 税率は同じ。変わるのは増えるスピード。毎年再投資に回せるのが全額か79.685%かの差
- 毎年使い切るなら、差はほぼない
- 貯め続けるなら手動受取が有利。自動受取が同じスピードで増やすには約25%高いスワップポイントが必要
- 為替が下がった年には、通算でマイナスでも自動受取だけ課税されるという場面が生まれる
- 実測では、25%の差がついている通貨ペアは19ペア中0件だった
- ただし、毎年使う人・数年で区切る人・退職が近い人などには、自動受取のほうが合う
- 貯めるお金と使うお金で、口座を分けるという選び方もある
スワップポイントの比較というと金額にばかり目が行きますが、受け取り方の設計も同じくらい効いてきます。 どちらが正解ということではなく、自分の使い方に合うほうを選べばよいのだと思います。
各社のスワップポイントはスワップポイント比較で毎日更新しています。受け取り方が会社ごとにどう違うかは受け取ったスワップポイントは引き出せる?に、スワップポイントの仕組みそのものはFXスワップ投資とは?にまとめています。